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○月×日 21:00 パソコンルーム 「…状況、は…?」 「爆発する携帯電話」の契約者が、静かに尋ねる すると…教室中のパソコンの電源が、一斉に入った パっ、パっ、パッ……と、それぞれに監視カメラの映像が映し出される 『カミナリノオトデワカッテルカモシレナイガ、さんだーばーどガタタカイダシタゼ、バカデケェろぼっとトナ。アトハ、ショクドウノマエニズイブンナオオニンズウガアツマッテンノト……ア~、ニカイノキョウシツデモタタカイガハジマッテンンナ』 パソコンから聞こえてくる機械的な声 教室の中央のパソコンに、男性の映像が映し出された 都市伝説「スーパーハカー」が作り出した、彼自身の(理想とする)姿だ 本来の姿を持たない彼は、こうやって擬似的に姿や声を作りだし、他人とコミュニケーションをとるのだ 「なるほど、これで少年が傷ついた事がわかったのですね?」 「……あぁ」 オーナーの言葉に、「爆発する携帯電話」はこくりと頷く この校舎内の監視カメラは、完全に「スーパーハカー」の支配下におかれているのだ 校舎内に侵入した者達の様子も、全て感知する事ができる 「…っつか、映像の数すげぇな。いくつ監視カメラあるんだよ」 「……20台は超えている、らしい……」 『イヤダネェ、カンシシャカイッテヤツハ』 それを利用していることを棚に上げて、スーパーハカーが肩をすくめた ……と、映像内に、黒い群れから逃げている女性の姿が映った その様子に、「爆発する携帯電話」がぴくり、小さく反応したが…女性が階段を登って逃亡したのを見て、小さくほっとしたようにため息をつく 「何じゃ、あのゴキ○リの群れは?あれも、お前さん達の仲間の仕業かの?」 「……違う…あれ、知らない…」 ふるふる ひきこさんの問いかけに、首を左右に振る「爆発する携帯電話」 先程のネズミの群れと言い…校舎内に、マッドガッサー一味以外の勢力によるアニマルパニックやGパニックが起こっているようである 「…そうです、一つ、聞いても良いですか?」 「……?何、だ…?」 「司祭様…マリ・ヴェリテは、以前、静かに暮らしたいと、そう言っていました……その発言は、彼の真意なのでしょうか?」 オーナーの問いかけに…「爆発する携帯電話」は、考え込むように俯いた …やがて、ぽそぽそと答える 「…本音、だと、思う…」 ぴすぴす、ジャッカロープが鼻を鳴らしながら頷いた 「爆発する携帯電話」の考えに、同意しているようだ 「…マリ、は…ヨーロッパに居た頃……何度か、人食いをやめようとした、と……人を襲わずに生きようとしたことがある、と、聞いて…いる」 「それじゃあ…」 どうして、まだ人食いを続けているのか 少年が尋ねようとしたその内容を察したのだろう 「爆発する携帯電話」が、続ける 「…信じてもらえなかった…と、聞いている」 「信じて……ですか」 オーナーは、以前、マリが司祭の姿で話していたことを思い出す 『向こうには、都市伝説と呼ばれる存在を狩る事を生業としている者も多いんです。その手の者は、その都市伝説がほんの少しでも悪い噂から…人を害する噂から生まれた、となれば、たとえその都市伝説が人間と分かり合おうとしていても、狩りたてようとしますから』 信じてもらえなかった それは、間違いなく、マリの実体験だったのだろう 人食いをやめようとしても、人を襲うのをやめようとしても ……誰にも、信じてもらえなかった 「じゃから、人食いを続けていた、と?」 「っちょ、ばーちゃん!」 「……………」 ---ひきこさんの言葉に俯いてしまう「爆発する携帯電話」 ぴすぴす、ジャッカロープが心配そうに見あげる 「……罪を」 「…?」 「罪、を……押し付けられた、と…聞いた…」 「…罪を?」 こくり、頷く「爆発する携帯電話」 --「爆発する携帯電話」も、詳しくは聞いていない マリが、その経験を詳しくは話さなかったから ただ 「罪を押し付けられた」と、そう、苦々しい表情で言っていた 「マリ・ヴェリテのベート」と言う都市伝説を人食いであらせようと…「悪」のままでいらせようとした存在が居る その事実が、確かに存在している 静かに暮らす事すら、彼は許されなかったのだ 「…自暴自棄になってしまったのかもしれませんね。「悪」と言うレッテルを、強制的に押し付けられて」 ぽつりと、オーナーがそう呟いた どんなに望んでも、人食いである事を強制させられて 誰とも、心を許し会う事すらできずに生き続けた都市伝説 その心が歪まずにいられたならば、それは一種の奇跡だろう 今のマリ・ヴェリテには、この「爆発する携帯電話」のような仲間がいる 長い長い生の中、ようやく手に入れた仲間 それを、決して失いたくはないのだろう だからこそ、今回の行動を起こした 世界中、全てを変えるために 世界中の全てから、自分達を害する者を排除する為に どこまでも自分勝手で、しかし、どこまでも仲間を思うが故の行動 だが、だからこそ、止めなければならない 「マッドガッサーは、屋上にいるんだよな?」 「あぁ………でも……」 『ソウカンタンニャア、セットクニオウジナイトオモウゼ?』 「爆発する携帯電話」の心境を、スーパーハカーが代弁した そう簡単に説得に応じる程度の覚悟で、今回の行動を起こせるはずもない 「爆発する携帯電話」だけではなく…他の者も、説得すれば マッドガッサーを、思いとどまらせる事はできるだろうか? 「…マッドガッサーと、マリを、説得できれば……多分、止められる」 「じゃが、その為には他にも誰か説得しなければいかんと言う事じゃな?」 「………くけっ」 こくり、ひきこさんの言葉に頷く「爆発する携帯電話」 ならば…まずは、他の誰かを説得するまでだ 「携帯のにーちゃんの仲間は、屋上以外にどこに!?」 『ン~…アァ、まりガイマ、ぐらうんどニイルナ。マジョノイチゲキモソコニイル。13カイダンガセイトカイシツヨコノカイダンノオドリバデ…………------っ!?』 「……?どうした……?」 『はにー!イソイデソコカラハナレロ!!』 「……え」 慌てた声を出すスーパーハカー 彼が、とある監視カメラの映像を慌てて映し出す それは…「爆発する携帯電話」達がいる、パソコンルームの前の廊下だ そこを……かさかさ かさかさかさかさかさ 無数の、黒い………Gが、縦横無尽に走っていて 「--っちょ!?まさか、囲まれてんのかよ!?」 『コノご○ぶり、ジカンガタツゴトニフエテヤガルッ!?コノキョウシツノマエデドンドンゾウショクシテンゾ!!』 「…これは、何とかしないと、ここから脱出できなくなるかもしれませんね…」 冷や汗をかくオーナー 相手がゴキブ○とは言え、都市伝説の影響を受けている可能性があるのだ ただの○キブリを侮ってはいけない ……とにかく 誰かを説得しに行くとしても…まずは、このパソコンルームから脱出するのが、先だ 少年とオーナーは、手にした獲物を静かに、構えなおしたのだった to be … ? 前ページ次ページ連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち
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そして… 疾風「あれ? 新聞?」 新聞部が書いた新聞を手に取り、悪魔の囁きの記事を見る疾風 疾風「悪魔の囁きの本体が倒された…? なるほど。と言うことは他の悪魔の囁きも消えるはず…だよね?」 後ろを見て、 疾風「なのになんでお前は生き残ってるんだよ…」 『知ルカヨ、ソンナン』 疾風に取り憑いていた悪魔の囁きはどういうわけか消えていなかった 「貴方の嫉妬心が強すぎたせいじゃない…?」 ちなみに疾風は悪魔の囁き騒動の最中、新たな都市伝説と契約していた それは『宇治の橋姫』。嫉妬深いことで有名な妖怪である 疾風「なるほどね…。それじゃあ、悪魔の囁きが巨大な海蛇と竜が合わさった生き物みたいになってるのも そのせいなのか…?」 彼に取り憑いていた悪魔の囁きは、彼の強すぎる嫉妬心と『宇治の橋姫』が集めた嫉妬心を食べ、 成長して別の都市伝説に変わっていた。『レヴィアタン』。七つの大罪において、嫉妬を司るとされる悪魔だ 『アー、ソウイウコトカ。ツマリ俺ハ悪魔ノ囁キカラ正真正銘ノ悪魔ニ進化シタワケダ』 疾風「まあ、悪魔の囁きが倒されても僕のすることは変わらない…。滅びろカップルども…ああ、妬ましい」 早速人前でイチャついているカップルを見つける疾風たち 疾風「…人前でイチャつきやがって、妬ましい…! 爆発しろ!」 「本当妬ましいわね…」カツーン、カツーン 疾風がカップルの座っているベンチを爆破し宇治の橋姫が呪いをかける 疾風「くくくくく…いい気味だ…。滅びてしまえばいい…!」 「カップルなんて要らない…。妬ましいだけ…」 『俺ノ出ル幕ネェナ…』 坊池一人が倒されても、カップルは『リア充爆発しろ』の被害にあうのだ。死にはしないが 疾風「今日はそんなにカップルが多くないみたいだね…良かった良かった」 「坊池一人とか言う人が暴れまわったからでしょうね…。平和が一番だわ」 『頼ムカラ無視シナイデクレ…』 疾風「いや、だって流石にお前を召喚したら目立つだろ…」 『ソウカ…ソウダヨナ…』 疾風「まあ、他の都市伝説に襲われたらお願いするかもしれないけどね」 『ソレマデオ預ケッテコトカ…』 疾風「そういうこと」 こうして、疾風のリア充狩りはますますエスカレートしていくのであった… 続く…
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ep.206 都市伝説レジェンド級!? 「犬鳴村について」 放送内容 参加メンバー Tomo K-suke その他 名前 コメント すべてのコメントを見る
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「……ふぅん」 そのチラシを、真っ赤な靴を履いた少女は興味なさげに見つめていた 背後に立つ赤い靴が、少女に尋ねる 「手は出すなよ?」 「わかってるわよ。無理無理。ラスボスどころか隠しボスクラスじゃないの」 そう答え、ぺい、とチラシを捨てる少女 赤い靴は、少女の返答にほっとした …己の契約者に、こんな危険な都市伝説と積極的に戦って欲しくない 赤い靴は己の願いが叶った事に、酷くほっとした 「………」 そして 少女が投げ捨てたチラシを拾った女性が、一人 そのチラシを見て…憂鬱な表情を浮かべた …あぁ、あの都市伝説が、何かこの町に災いを運ぶと言うのか きっと、あの人はこれを見逃さない たとえ、敵わないとわかっていても…取り込まれた人間たちを救おうと そして、「夢の国」それ自体を救おうとして…無理をしてしまうかもしれない 自分の命なんて、顧みず どうか、無茶をしないでください もう、命を落とさないで 彼女には、ただ、祈る事しかできなかった 前ページ連載 - 赤い靴
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「なんなんだ…こいつらは……」 確かに首無し騎士の攻撃は通っている。首を切り落としていものまでいるってのに…… なのにこいつらは立ち上がってくる。 「マジでなんなんだよ、こいつらはよ! というか、なんで千葉にいるはずのこいつらが!」 無理だ。こんなのに勝てるはずがない。 「逃げるぞ!」 首無し騎士の馬に飛び乗る。騎士は直ぐさま馬を走らせた。 なんなんだこの町は…… さっきの奴らといい、組織とかいうのといい…… それもこれも、この首無し騎士に出会ったのが原因だ。 こいつの、首をとった相手がこの町にいる噂をきいて、俺はこの町にきた。 「よ、よし、ここまでくれば大丈夫だ」 着いたのは俺が数ヶ月前から通っている学校、何故かこのあたりは組織や危険な都市伝説の動きがあまり見られない。 といっても、まったく都市伝説がいないってわけでもない。 いや、むしろ学校内には都市伝説と契約した奴らが複数いるくらいだ。 「お前はバレないようにどっか隠れてろ」 そう言うと、騎士は馬を走らせグラウンドのほうへとむかっていった。 「さて、あの変な奴らがいなくなるまで少し校舎に隠れてるか」 どうせ放っておけば、組織が潰してくれるだろう。 いや、組織のほうが負ける可能性もあるかな? いいや、どっちか片方が消えてくれるなら、それで万々歳だ。 そんな考えをしていると、自然と鼻歌をまじりになってしまう。 「あー…駄目だ、ここも鍵かかってる……」 どこか特別教室に隠れようと思っていたのだが、どこもかしこも盗難予防のためか鍵がかかっている。 「ここも駄目だったら全滅だぞ」 理科準備室、理科室はあいてなかったものの、 理科の先生は、結構いい加減なところがあるので準備室は忘れてるのではないか、と思ったのだ。 「さて……」 準備室の扉に手をかける。そしてゆっくりと力をこめた。 えっと……いや……準備室の扉は開いたんだ。 そのときもしかしたら、理科の先生がいるのかな?とかも考えたんだけどさ…… そこにいたのは、俺がこの前助けた転校生。 いや、それでも、それだけならここまで驚かなかったと思う。 そう、その子が骨格標本にかぶりついてさえいなければ。 なんなんだ……この町は不可解なことが多過ぎる 終 前ページ次ページ連載 - 首無し騎士の契約者
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買って嬉しい はないちもんめ まけて悔しい はないちもんめ あの子が欲しい あの子じゃわからん この子が欲しい この子じゃわからん 相談しよう そうしよう 俺が組織からの命令は○○町に組織に非協力的かつ危険な契約者がいるから始末して来いと言う物だった 組織の命令でしかも危険な契約者となれば戸惑う必要はどこにも無く二つ返事でOKした俺だったが今は少し後悔している その契約者はまだ年端も行かぬ少女だったからだ 「おじさん?」 「・・・ん?」 イカン・・・考え事をしていた所為で標的が目の前まで来ている事に気付かなかった 「少しお願いがあるの・・・あの帽子を取ってくれない?風で飛ばされちゃったの」 見ると確かに木に帽子が引っかかっている 本当なら今すぐ始末するべきだったんだろうが相手が子供な事からこの任務に抵抗を感じていた俺は最後の頼み位聞いてやろうと帽子を取ってやった 「ありがとう、叔父さん良い人ね」 「あ、あぁ・・・」 「だからね」 少女が朗らかに笑い 「苦しまないように殺してあげるわ」 背筋が凍る様な声でそう言った 「え?」 俺の戸惑いを他所に後ろにあったマンホールの蓋が飛び、中から巨大な生物が現れる 白いワニ、俺が契約した都市伝説だ 「何?!」 契約者の俺の意思と関係なしに鰐が出てきた・・・どう言う事だ!? 「やだ、組織から私の能力聞いてなかったの? 相変わらず杜撰な所ね・・・最期だから教えてあげるわ 私の都市伝説はね――はないちもんめ」 「・・・まさか」 「はないちもんめ」は有名な童謡だがその歌詞の内容は人身売買の歌だと聞いた事がある 「そ、相手にお金を渡す事で相手の都市伝説や仲間を操る事が出来るようになる・・・それが私のはないちもんめの能力」 「金を渡す・・・だと?」 「鈍いわねぇ、帽子の裏を見て御覧なさい」 言われて帽子の裏を見る 帽子の裏には100円玉が貼り付けてあった 「・・・・・・」 「その100円で、あなたのワニ買わせてもらったわ」 とても楽しそうに笑う少女 こんなの、子供のする表情じゃない・・・ 「子供相手だと油断した時点で貴方の負け・・・食べちゃえ」 少女のその言葉を聞いてワニがこちらに向ってくる 今まで何年も共に戦った相棒が俺に・・・・・・バクンッ クチャ・・・クチャ・・・ 「さよなら、間抜けな叔父さん」
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【はないちもんめの人の「ベート事変」より】 「……おや?」 もやもやとした思いを抱えながら絵里が獄門寺家の家の前まで辿り着いた時だった 門のすぐ手前で、鬼灯と直斗が、何やら話している 門番はちょうど中にいるようで、そこにいるのは二人だけだ 「ーーー間違いなく、いるーーーーーーー恐らく、三年前とは違って、本格的にーーーー」 とぎれとぎれに、二人が話している内容が聞こえて来る 「鬼灯は、悪くないだろーーーーーー、好都合ーーー」 「ーーーーーたのは、俺だ」 絵里から見て、直斗は背中の方しか見えないため、表情はわからない ただ、鬼灯は どこか、思いつめているような…………普段の飄々とした様子とは違う、そんな表情で 「……今度こそ、逃がさない。俺が、仕留める。坊や達の手は汚させないさ」 そう言って、笑ったその顔は、自嘲しているようで 「……ま、それは龍哉や遥に言っとけ。俺、契約してないからろくに戦う手段持ってないんだしさ」 「それはそうだがな………お前さん、時々無茶やらかすだろうあ。心臓に悪ぃんだよ」 そよ、と、風が吹いて、かすかに、桜の花に似た香りがした 確か、鬼灯がつけている香の香りだ それに混じって、鬼灯が手元で弄んでいるキセル煙草の香り 鬼灯が、顔を上げて、絵里に気づいた いつもの、飄々とした軽い表情に、戻る 「よーぉ、お帰り。用事はすんだのか?」 「えぇ、まぁ………」 何を、話していたのか 訪ねようとしたのだが、それよりも先に、直斗が口を開いた 「じゃ、俺はこれで。学校のほうでなんかあったら、鬼灯にも話すようにするから………絵里さんは、お疲れ様」 それじゃ、と、気楽に手をふり、帰っていく 夕暮れ時、黄昏時 かつて、この時刻の学校町は限りなく危険だった 都市伝説が、姿を表しやすい時間だから それでも、大多数の人間は都市伝説等知らずに生活しているままだが………直斗のように、都市伝説という存在を知っている方が、危ないのだ 知っているからこそか、都市伝説を引きつけてしまう、ということは多いのだから ……今の学校町は、そこまで危険ではない 少なくとも、今のところは 直斗を見送り、絵里は改めて、鬼灯に向き直った 「あの、何の話をしていたんですか?」 「んー………?いや、大した話じゃねぇさ、気にするな」 ぽふぽふ、と、まるで、子供相手にするように、軽く頭を撫でられた 子供じゃないんですよ、とその手から逃げると、子供みたいなもんだろう、とくつくつと笑ってくる 「……大した話のように、聞こえた気がしますが」 「気のせいだっつの、気にするな………あぁ、嬢ちゃん。夕食、あの蛇の女が作るみたいだから、嬢ちゃんは夕食前にシャワーでも浴びとけ」 「あ、しまった、もう蛇城さんが作り始めてますか……やあ、手伝わないと」 「いいから、シャワー浴びに行っとけ」 ぺふりっ、と もう一度、少し強引に頭を撫でられた 「……………その顔で、龍一達の前に出る気か」 「!」 「顔に出てる。何があったか聞くつもりはねぇが。心配させる気なかったら、隠しとけ」 ぼそりと言われたその言葉に 動揺を隠し通せたかどうかは、わからなかった to be … ? 前ページ次ページ連載 - 次世代の子供達
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月の下、絶叫が響き渡り、血飛沫が飛ぶ 野生の兄貴が、今夜も狩られる 憎悪と殺意を漲らせ 一人の青年が、兄貴達をメッタ切りにしていた かくして、今宵もまた、十数体の野生の兄貴が、「かごめかごめ」の契約者によって退治されたのだった 「お見事ですね。流石は「組織」の人間です」 そんな青年に、淡々と声をかけてきた女性がいた …この学校町の警察組織において、幹部クラスに身を置いている女性で、名前は広瀬 美緒 どうやら「組織」と繋がりがあるようで、今回の野生の兄貴出没報告をしてきたのは彼女なのだ 正確には、彼女が「組織」のエージェントである黒服Hに連絡し、そこから青年に仕事が回ってきたのだが 「…あれに関しては、本当、ご迷惑かけます」 「全くです。一般人の被害報告がどれだけ出ていると思っているのです」 頭を下げた青年に、容赦なく広瀬はそう告げた 反論できないのが、痛い 「聞いた話によれば、あれが発生した原因は「組織」のとある黒服が原因だとか……「組織」は、一体何をやっているのです。訴えますよ?勝ちますよ?」 「「「あれを制御できる奴なんて、この世に存在しない」」」 きっぱり 青年と、ハクとコンの言葉が見事にシンクロした うん、あの禿をコントロールできる存在なんて、この世に存在してくれていない 悲しいことに 青年達の答えに、広瀬は小さくため息をついた 「…まぁ、いいでしょう。再び、あれの出没証言がでましたら、あなたに伝えます。連絡先を教えてくださるでしょうか?」 「えぇ、構いませんよ」 携帯電話の番号をやり取りする 正直、直接連絡してくれた方が、即座に退治にいけるから、ありがたい 滅びよ、野生の兄貴 ゲイなんぞ滅びよ 軽く、憎悪をたぎらせる青年 そんな様子に気付いているのかいないのか…広瀬は、小さくため息をついた 「…あなたのようなまともな人も、「組織」にいて助かりました。むしろ、あなたのような方と、先に接触したかったです」 「………まぁ、最初に接触したのが、あのHじゃねぇ」 うん、となにやら納得した様子のハク あの男は、色んな意味で問題があるから …特に、女性にとっては 「全くです……よりによって……」 ……ふと 広瀬の表情に……寂しさのような、悲しさのような そんな色が、混じったような そんな錯覚を、青年は覚えた しかし、すぐにその表情は、冷たい物へと変わる 「…それでは、私はこれで」 「あ、はい」 かつかつと、ヒールをならして立ち去る広瀬 その最中、仕事の電話が入ったのだろうか 歩きながら対応している …なかなかに、忙しそうだ 「……うん?どうしかしたのか?」 「あぁ、いえ」 その後ろ姿を、無意識にじっと見つめてしまって コンに話し掛けられて正気に戻った青年は、軽く首を振った 気のせいだろうか あの広瀬という女性は、都市伝説のことを口にしている時 ハクやコンと話している時…憎悪を、押し隠しているような気配がした 都市伝説を、憎いんでいるのだろうか 憎んでいて、そうだと言うのに いや、それだからこそ、「組織」と繋がりを持って、都市伝説の存在を隠そうとしているのか …ただ、それだけでは、なくて 「…気のせい、ですかね」 気のせいならいいのだが あの広瀬という女性が、何か、都市伝説に付いて…もしくは「組織」に関する何かに関して 何か、因縁を持っているような そんな錯覚を、青年は覚えたのだった to be … ? 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
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【上田明也の探偵倶楽部】 ベッドで思い切り寝込んでいる男性。 恐らく高熱が出ているのだろう、氷枕をしている。 まあ俺のことである、今俺は風邪を引いているのだ。 「こんにちわ皆さん、最近自分のここの所の生活がアニメ化できそうでわくわくしている上田明也です。 でも主人公と言うよりラスボスな気もして悶々しています。 探偵兼殺人鬼という厨二病全開過ぎて死にたくなる二足のわらじを履いているし行けると思うんですけどね。 まあ探偵の仕事、なんていっても依頼が来るのなんて週に一、二回ほどです。 しかも、都市伝説で仕事を終わらせてしまうのでお金も手間もかからないと。 殺人鬼の仕事なんてさらなりって奴です。 仕事ですらない。 何を言いたいかって言うとすごく暇なんですよ、ええ。 そんな暇なときはどうしているのかって? テレビかネットでも見て時間を潰すに限りますよ。」 誰かに語りかけるように独り言を呟く。 これを行わないと自分の日常が始まらない気がするのだ。 「マスター、生きてますか?」 いきなりの寝室のドアを開けて飛び込んでくる幼女、俺の契約している都市伝説「ハーメルンの笛吹き」である。 彼女の手の上には緑色のおかゆがこんもりのっかったお椀があった。 「うわ、やめろお前がおかゆなんて作るんじゃ……。」 「つべこべ言わずに食えよおらぁ!」 どうやら俺の昼食らしい。 「うに゛ゃああああああああ!?」 病人という存在の弱さとおかゆに有らざる苦みを口中で噛みしめながら俺はそのまま意識を絶った。 ああ、幾ら都市伝説を使いこなしても駄目な物は駄目なんだなぁ……。 【上田明也の探偵倶楽部5~真夜中の赤い砂嵐~】 あの悪夢のようなランチタイムから一体何時間経ったのだろう? 俺が目を覚ますとまず最初に時計を確認した。 真夜中の十二時。 なんということだ、12時間も眠ってしまっていたらしい。 酷く喉が渇いた。 腹も減っている。 体中が痛い。 頭はまるで捻子を突っ込まれたようだ。 思えば、あの謎の黒服達に追いかけられている夢を見てからずっとそうだ。 只の風邪ではないのだろうか? 「メルー、メルゥ?」 掠れた声で我が愛しの都市伝説を呼ぶ。 「うへへ、……これ以上食えません。」 隣で熟睡していた。 幼女の都市伝説が隣で寝ている。 どんな悪戯をしても問題無いだろう。 成る程、ロリコンたるこの俺にとっては風邪さえ引いていなければ中々魅力的な状況だっただろう。 今すぐ押し倒してこの天使のような頬や この世の美をすべてそこに集約した尻などを好きなだけ愛でてから 本丸に突撃するのも中々どうして魅力的だったろう。 「残念ながら俺も食えません、と。」 意味が違うわ、と一人ボケ突っ込みをしながら俺は冷蔵庫まで比喩じゃなく這っていった。 冷蔵庫を漁ると すっかりカラカラになったトマト ポカリスエット――――――恐らくコレを飲むべきなのだろう 安物の粉チーズ ケチャップ マヨネーズ ソーセージ 鯵の干物 が入っていた。 「ああ………。」 十二時間を無駄に過ごしてしまった後悔を噛みしめながらポカリスエットを胃袋にそそぎ込む。 カラカラに渇いた喉やもう何も入っていない胃袋が急な来訪者に驚いて活動を始めた。 それにしても腹が減る。 スパゲティをゆでることにした。 台所の隅に転がっていたタマネギを適当にバラバラに切り刻む。 カウンターに捨て置かれていたニンニクの欠片なども適当な感じで細かくしておこう。 フライパンにオリーブオイルを引いてゆっくりと暖める。 ジュゥワアアアア! ニンニクと一味唐辛子を入れて炒めると美味しそうな香りが立ち上ってきた。 麺の方も中々上手そうに鍋の中で踊っている。 眠りすぎて腐り落ちそうな頭が作り替えられていく。 鍋の中のゆで汁をお玉一杯、よりちょいと少なめにフライパンに入れる。 油とお湯が混ざって白濁し始めた。 麺の様子を見ると丁度芯が残っている固ゆでの状態だ。 ここで麺をフライパンの中に突っ込む。 白濁した液体と麺は絶妙な具合で絡む。 ここで火を止めてナンプラーと鯵の干物を刻んだ物も混ぜ合わせる。 アンチョビの代わりにはならないだろうが無いよりはマシだ。 皿を出して盛ると中々悪くない出来だった。 箸でにゅるにゅると噛みしめると何とも言えない幸せな気持ちになれる。 「中々良い出来だぞ、上田明也。お前もやれば出来る子じゃないか。」 自分で自分を褒めてから何とも言えない寂しさを噛みしめた。 「……寝るか。」 自分に言い聞かせるように独り言を呟いてから寝室に向かう。 まだ自分の体温が残るベッドに潜り込んで瞳を閉じた。 ちなみに我が探偵事務所はあまり広くないので基本的にメルとは添い寝である。 身体が冷えるので湯たんぽ代わりにメルを引き寄せた。 「だからもう食べられないってヴァ………。」 夢の中でも何か喰っているらしい。 本当におめでたい奴である。 「喰っちまうぞ。」 「うわ、ハンバーグが追いかけてきた!?」 メルが急にうなされ始めた。 ハンバーグに追いかけられる夢って大して恐ろしく思えないぞ。 「………今度こそ寝るか。」 俺はまぶたを閉じて頭の中を空っぽにした。 どれくらい時間が経ったのだろう。 時計を見るとベッドに入ってから30分ほど経過していた。 ―――――――――――眠れない。 仕方ないので隣に寝ている幼女に襲いかかろうかとも思ったが ニンニクまみれの口で襲いかかっても只の嫌がらせだ。 それは自分の美学に反する。 適当にテレビやらネットでもして時間を潰すとしよう。 自分の部屋に入るとテレビをつけて深夜の通信販売番組をながめる。 いかにも吹き替え翻訳っぽい声が面白いのだが結局は同じ番組の繰り返しなのですぐ飽きた。 次はパソコンのスイッチをオンにした。 ヘッドフォンをつける。 何か面白いニュースはないかと探し回ってみる。 「お、俺のニュースじゃないか。」 様々な犯罪についてまとめたサイトの中でハーメルンの笛吹き関係の物を見つけた。 中々噂に尾ひれが付いている物である。 どうやらこの国の人間には俺が警察組織の幹部の子供だと思われているらしい。 どこぞの漫画でもあるまいに警察幹部の子供が悪い奴ばかりみたいな物の見方はやめて欲しい物だ。 しばらくニュースサイトを見て回っていると画面上にいつの間にか知らないウインドウが出てきていた。 タブブラウザを使っているのでリンクで飛ぶときにウインドウが出る事なんてありえない。 カチッ! 試しにそれをクリックしてみる。 「あ/か Yes or No」 「おおこわいこわい。」 都市伝説の赤い窓ではないか。 この町はネットサーフィンものんびりできないらしい。 イエスもノーも押さないで放置しておく。 都市伝説などという物は関わらないに越したことはないのだ。 どうせ放っておけばそのうち消えるだろう。 「スーパーハッカーだかスーパーハカーだかと仲良くなっておけばこういうのも簡単に解決してくれるのか?」 あくまで自分の能力は最低で最高なこのアナログ世界におけるものでしかない。 ひとたび電波だの電子だのネットだの言われてしまうとどうしようもないのだ。 やれやれだ。 自分の無力さを噛みしめながら椅子に背中を預けて目を閉じる。 おっ、良い感じで眠たくなってきた。 キーーーーン なんだ、この妙な音は? どうやら後ろから聞こえているようだ。 くるりと後ろを振り返ってみるとテレビが砂嵐になっていた。 そうだ、さっきからつけっぱなしにしていたのだ。 テレビを消そうとテレビに近づくと画面の奥から何か妙な物が見えてくる。 「今日の死亡予定者 上田明也 左門恭二 下田憂晴 右衞門絹 本日の死亡予定者は以上です。」 「なんですと?」 迷うことなく村正を手にとった。 新品だったがテレビをざっくりと斬りつける。 テレビに刃物が食い込むか否かの瞬間、テレビから真っ黒な手が伸びてくる。 それはテレビを壊されてすぐに消えるかと思った。 どうせあんな手だけでは殺せまい、俺はそう思っていた。 ところがだ。 手は俺を狙うことなく“真っ直ぐに”パソコンへ向かった。 俺は自らの判断の甘さを恥じた。 黒い手が狙って居たのはそれだったのだ。 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ 「――――――しまっ!」 「赤い部屋は好きですか? ニアYes or No」 パソコンの画面は真っ赤に染まった。 「野生の都市伝説が連携とか聞いたことねえぞおい!?」 ベゴン! ベゴン!ベゴン! ベゴベゴベゴベゴベゴ!! 部屋につぎつぎと赤い手形が付く。 どうやらやってしまったらしい。 「っざけるなよ!」 目の前のパソコンを切り刻んで破壊する。 だが赤い手形は増え続けている。 もうパソコンをどうこうしても駄目らしい。 部屋を出ようとした次の瞬間に扉が閉まった。 どうあってもここに閉じ込める気だ。 「つまりだ。」 そのことから、俺は一つの推論を得た。 ビュン! いきなり鉈のような物が俺めがけて振り下ろされる。 いや、鉈ではない。 鉈のような雰囲気のする何かが、と言うべきだ。 「――――――危ねえ!」 間一髪でそれを躱すと鉈が落ちてきた方向を見る。 「……何も居ない?」 確かに、赤い部屋は被害者を血塗れにして殺すがその方法は指定されていない。 つまり血塗れになるならば何でも良いのだろう。 スパッ そう思っていると腕が裂けて非常に良い勢いで血が流れ始めた。 まずい、対策を打たないと……。 そう思った俺はすぐに窓ガラスを壊して部屋を出ようとした。 「赤い部屋と言っても所詮は部屋。 つまりだ。 部屋じゃなくなればあいつは俺に手出しをすることは出来ない。」 バリーン! 華麗に窓ガラスを割って地上2階から飛び出す俺。 下に停めてある誰かのワンボックスカーに飛び降りる………、てあれ? 俺が飛び出した先には先程まで見ていた真夜中の町の風景は無かった。 「赤い部屋は……好きですか?」 広い部屋。 西洋風の広い部屋。 すこし違和感を挙げるとすれば調度も壁も真っ赤な所ぐらいか。 それが異常すぎる事態なのだが。 しかし俺はそれよりも部屋の奥の暗闇から覗く瞳の方が恐ろしい。 暗闇の奥に紅く光る瞳。 あれは一体何なのだ? 「赤い部屋は、本来人々のネットに対する希望や夢を詰め込んだ場所でした。」 悲しげな声が響く。 「何時からだったんでしょう、人々がネットに対して怒りや恨みなどの暗い感情をぶつけ始めたのは。 そうやって私は赤い部屋になったんです。 ここにはそういうネットを通じて人々がはき出したくらぁい感情のたまり場。 だから真っ赤に真っ赤に染まってしまった。 あなたもそうやって暗いところを覗き込もうとしたんでしょう? だから死ぬの。 間違いなく死ぬ。 深淵を覗く物はまた深淵に覗かれている。 それを忘れて貴方は人々が無限に繋がりあうこの電脳世界の暗い場所を見てしまった。 人々の悪意によって貴方は死ぬ。 私のせいじゃない、私にそれは止められない。 ――――――――――――死んで。」 ザクリ 肉が裂ける音がして自分の身体から血が流れ出る。 今度は足か、逃げることも出来ない。 どうやら俺は異世界に連れて行かれてしまったらしい。 異世界にジャンプできる都市伝説なら助けに来てくれるのだろうが……そんな都市伝説俺は契約していない。 無力な物だ。 こうやって対策を考えている内にどんどん血は流れ出していく。 まずい、これは死ねる……! 死ねる、が、まあ良い。 死ぬなら徹底的にあがいてからの方が良い。 すると案外幸運は転がってくる物だ。 「赤い部屋って、どんな都市伝説か知っている?」 「知ってるに決まっているじゃねえか。 被害者は血塗れで死ぬんだろ?」 「正解。だから貴方は即死しない。ゆっくりゆっくり血を流して死ぬ。 人間は本当に脆い。しかしそんな人間の思念が……、私を変えた。 私はもっと良い物として生まれたかったのに……。」 「良い物になることが喜びなのかい?」 「――――――あたりまえじゃない!」 「良い存在になるのが君の喜びなのか。」 「そうだよ。」 俺はわざとらしくため息をついて遠くにいる赤い部屋の主を挑発した。 「――――――――――――くだらねえ。」 こうなれば後は勢いだ。見せてやる、上から目線性悪説。 「全ての人々から喜ばれ愛される善なる存在?良い人?明るいインターネットの未来? バーカ、俺はそんな下らない物認めないぞ信じないぞ。 良い存在?善良なる存在?誰が決めた?誰が決める? それを決められるのは誰なんだ?そうだよ、お前だって解っているだろう? ………そうだ、それは決められない。 お前の価値を決定するのはネットに関わる人々全てなんだよ。 万人共通の幸福や万人共通の正義なぞ有るわけがない。 人は誰しもが不完全で不公平な自分だけの秤を数千年前――――お前が生まれるずっと前からだ、 プラップラプラップラ振り回してきているんだ! お前の在り方を勝手に歪められた? 冗談は休み休み言えという物だ。 世界に存在する全ての物は互いに影響を与えあいながら生きているんだぞ? そんな中で純粋培養された揺るぎない存在などあり得るはずがない。 お前の最初の願いですら恐らく誰かによって設定された物であってチッポケなお前自身の願いなど……」 どんな台詞も締めが肝心。 「――――――――――――――――――端から無かった。」 キリッ いかにも俺は格好良い台詞を言いましたよって顔をするのが肝要。 「……………うぅ、でも私は!」 それでも何か言おうとする赤い部屋の主。 しかし言葉は続かない。 「なんだ!なんだっていうんだ!答えられるか? いいや、お前は答えられないね! お前は自分という存在について自分で考えたことがない。 何になりたいかは考えても己が何であるかは考えてもみていなかった! そんなお前が答えられるわけゴォッッフウウウウウウウ!!!」 俺は勢いよく吐血した。 辺りがドンドン真っ赤に染まっていく。 DANDAN身体冷えていく! ……駄目だ、死ぬわこれ。 「…………大丈夫?」 赤い部屋の主がこちらに近づいてくる。 あ、意外と美人だ。 ロリコンじゃなければ……、いや、俺ロリコンだったっけ? うん、あれは合法ロリだ。 そういうことにしておこう。 「大丈夫なわけ無いだろうが!あと少しで死ぬわ! お前のせいだ!どうしてくれる! そうやってお前は何人もの人間を殺してきたわけだ。 俺もその中の一人になるってか?そうだろうな、俺の命は只今消失しそうだからな!」 「私のせいじゃない!そういう風に貴方達がしたんでしょう? 私は………。私は人を殺したくなんて無いし赤い部屋をもっと楽しいところにしたかった!」 「貴方達って誰だよ!人間か?下らないね、それこそ下らない。 人間程度に左右されてんじゃねえぞ!」 怒鳴りつける。 こちらが普通の人間じゃないと解っているらしいしついでに脅してみよう。 ちなみに彼女が俺に左右されているのに人間に左右されるなと説教されているのはかなり理不尽だ。 「ひぅうッ!」 ビクッとなった。 割と可愛い声しているじゃないか。 「まったく、俺を殺す割には大したことのない奴じゃないか。 楽しいところにしたいなら楽しいところにすればいいじゃねえか! 他人なんて関係無い!もっと!もっと自分で楽しいこと探してみろよ! 他人から与えられる物だけを娯楽として享受するような人格に、知性に、本物の娯楽なんて味わえない。 結局大事なのは自分だろうが! それともあれか?人間に依存する形でしか存在できない都市伝説だから人間の思うとおりにしか動けないってか? それなら誰か良く解らない噂じゃなくて俺に依存してみる気は無いか? きっと楽しい物が見られるぜ?」 立ち上がって赤い部屋の主を抱き寄せる。 赤い瞳、青みがかった髪、白い絹のワンピース。 なんだなんだとても可愛いじゃないか。 まあ合法ロリの範囲だ。 「もう一度言おうか、俺に頼ってみろよ。」 耳元でささやく。 細い首筋と滑らかな肌が触れていて心地よい。 「う、う、うるさぁい!」 もう半狂乱気味にわめく赤い部屋の主。 人間と話したことがあまりなかったのだろう。 しかし俺も時間がない。血がない。仕方がないし仕方もない。 彼女に対して仕上げを行おう。 「でもな、聞いてくれ。ここからが………、大切なんだ。」 「どうせなんか説教するんでしょう?ていうか何よ!なんでそんだけ血を流しているのに死なないのよ! おっかしいんじゃないの?死ぬんじゃないの?馬鹿よ!アンタ馬鹿!知らない、私は何も知らないんだあ!」 「そうだ、その通りだ。俺は馬鹿だよ。お前の言うとおりだ。」 「………え?」 「俺、子供の時はそこそこ良いところのお坊ちゃんとして育って居てさ。 家族も優しかったし友達も沢山いたしそこそこ幸せに過ごしていたんだ。 でも、都市伝説と契約する為にそれら全部捨てちゃった。 将来は弁護士にでもなってから親父の会社継いで人の数倍幸せな生活しようと思っていたのにだ。 なんでだと思う?」 「………あんたが馬鹿だからじゃない。」 「そう、そうなんだよ。でも………。」 おぅふ、マジで意識がなくなってきた。 ここからが勝負だ。 「でも?……でもどうしたのよ? 死んだの……?ねぇ、何か話してよ………。」 よし、良い感じで心配している。 このまま少し死んだふりしていれば良い。 おお、良い感じに傷がふさがり始めた。 出血死のタイミングはこいつが握っているんだからこいつに殺したくないって思わせれば上出来だ。 「……ああ、気を失っていたのか? どこまで話したっけ? そうだ、俺が馬鹿だという話だ。 その通り、お前の言うとおりに俺は筋金入りの馬鹿なんだ。 でもな、それでも欲しかった物がある。 たとえ馬鹿と言われても、どんなにねじ曲がった手段でも、目指す物がある。 愚かで結構、邪悪で結構、弱者で結構、なんであっても結構だ。 でも、譲れない物があった。お前にはあるか?俺にはそれがあるんだ。」 「な、何よ?」 「そうだな、愛………かな?」 おおくさいくさい。 うわ、赤い部屋の主も固まってる。 引いてるよこれドン引きされてるよ。 高校の頃ロリコンがばれかけた時と同じくらいやばいってばこれ。 しかしここで幼女とか言ったら呆れられる、それは冗談じゃなく俺の死に繋がる。 まったく困った話だよ。 「………愛なの?」 聞き返してきた。 どうやらまだなんとか俺は生きていて良いらしい。 「ああ、愛だね。都市伝説の力を俺が求めたのも全部それだよ。 俺はね、他人の心の痛みがわからないんだよ。 どれだけ必死になっても全く解らない。 言葉としては解るんだよ? でも実感としては解らない。 そんな俺には心の底から安穏とできる居場所なんて無かった! 他人の痛みが解らない人間だから他人に理解して貰えないなんてルールはないはずだ! 狂ってるよな、狂ってる。でも逆に考えればそんな自分の心の痛みを解ってくれる恋人がいればそれは何にも優先する。 だから、お前も俺と一緒に来ないか?」 「………今、恋人居ないの?」 「居ない。なってくれるか? なってくれるとすごく嬉しい。」 おお、外道外道。 返事はない。 代わりに契約書のようなものが目の前に落ちてきた。 すでに二つの都市伝説と契約しているけれど……、何故だろう。 俺の器はまだ広がる気がするんだよ。 サインに自らの名前を書く。 全身の血管が膨張していくような感覚だ。 脳髄が揺さぶられて内蔵一つ一つがひっくり返っているんじゃないか? ああ、吐きそうだ。酷い嘔吐感に俺は襲われて居るのか。 しかし、それでも、未だ俺が正気を失うことはない。 正気なんてとっくに失っていたか? それにしてもまだ自分が化け物じゃないって解る、良いことだ。 それにしてもどこまで都市伝説を突っ込めば俺の身体は破裂するんだ? 「ところでお前をなんて呼べば良い?」 名前というのは大事だ。 「好きにすれば?」 ぶっきらぼうに返事をされた。 ははは、愛い奴め。 他人に名前を任せるのは自らの在り方を決定されるような物だというのに。 「そうか、じゃあお前は今日から茜さんだ。とりあえずこの部屋から出してくれ。 愛しているぜ。」 やった俺、よく頑張った。 「ん、解った……。感謝してよね。」 かくしてこの俺上田明也は都市伝説の助け無しで赤い部屋からの生還に成功したのであった。 厳密には赤い部屋自身の能力で帰って来たのだが細かい所は良いんだよ。 【上田明也の探偵倶楽部5~真夜中の赤い砂嵐~ fin】 朝、目が覚めると俺は思いきり自室の椅子で眠っていた。 ネットゲームでいうと寝落ちだ。 面倒な事件もひとしきり区切りがついたのでとりあえず自分にナレーションをすることにした。 「……と、いうお話でした。 メルにはばれていません。 ばれたら修羅場です。 つーか俺の身体ってなんなんでしょうね? 知らない間に勝手に都市伝説に対する容量が増えているとかね。 俺は身体があると言うよりは生体都市伝説運用装置とでも言った方が良い状態みたいだしさ。 ほんとうにやっていられませんよ。 次回の上田明也の探偵倶楽部は豪華三本立て! オムニバス形式のお話を予定しております。 それじゃ来週もまた見て下さいね? じゃんけんポーン! グーの貴方はチョーラッキー! うふふふふふー……、ガクリ。」 カタ ヴィーン…… 急に目の前のパソコンが動き出す。 「あ/か」 まただ。 どうやらまだ俺を眠らせてくれないらしい。 「あなたは私のことが好きですか?」 やれやれ、といった感じで肩をすくめると俺はとりあえずイエスを押した。 【上田明也の探偵倶楽部 続く】
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(少女 つばさぁぁぁぁぁ!! (翼 ん?ぐふぉッ!? ありのまま、今起こった事を話そう。 ロリっ子が猛スピードで近づいてきたと思ったら、翼の兄ちゃんが蹴り飛ばされた。 比喩じゃない、「飛ばされた」んだ。 (裂邪 兄ちゃぁぁぁぁぁん!? (幸太 うー!衝突事故うーうー!! 何を暢気な事を。 俺とミナワは翼の兄ちゃんに駆け寄った。 後ろで誰かが沈んでたような気がしたがスルー。 (翼 ってぇ・・・何がどうなったんだ? (裂邪 兄ちゃん大丈夫か? 人が飛ぶところ俺初めて見たぜ? (ミナワ それより、私は人が水面を走るのも初めて見ました; ・・・あのロリっ子何者!? ていうか瓜二つの子もいるんだけど双子か珍しい。 (翼 何で俺は望に行き成り蹴り飛ばされたんだ? (少女 悪かったわね・・・翼に聞きたい事があって・・・ (翼 聞きたい事? (少女 その・・・あの・・・ (そっくりさん 大樹に告られたんだけどどうすれば良いかな?だってs (少女 詩織!? ほうほう、蹴飛ばした方が望ちゃんで、そっくりさんが詩織ちゃんか。 そしてこの望ちゃんがどうやら大樹という人に告られたらしい。 それで翼の兄ちゃんに相談に来た、っていう状況判断でおk? 他人の恋愛話を聞くのは初めてだな。しかもまだスタートの段階。 つぅか盗み聞きしてて結構楽しい。いや、誇らしい。 これが「勝ち組」って奴か・・・ (裂邪 [そういや俺ってちゃんとした告白したっけ?] (ミナワ [へ?///] (裂邪 [なんか[ピー!]の後に言っちゃったから、えらく印象に薄いと思わなかったか?] (ミナワ [そ、そんなことありませんよ!ち、ちゃんとご主人様の想いは・・・///] (裂邪 [あとでご褒美あげるからね。] 途中「人殺し」だの物騒なワードが出てたが、まぁこれも気にしない。ロリなら何でもアリだ。 あと一緒にいたスク水ロリは友美ちゃんというようだ。 近くでみると同い年っぽそうだな・・・ (ノロイ ちゅー? (詩織 ノロイ・・・私が辛そうだって? (ノロイ ちゅー そうか・・・ノロイはどうやら泳げるだけでなく人語も話せるようd違う違う違う。 この詩織というロリっ子、ノロイと話しているのか? あぁあれか、正義が白ワニと話すようなもんか。 (ミナワ あ、あの・・・ノロイちゃんとお話できるんですか? (詩織 ・・・アンタは? (ミナワ あ、私はミナワと申します・・・そしてこちらが私のご主人様の (裂邪 黄昏裂邪だ。 (詩織 話って言うか何となくだけどね・・・私都市伝説だし ・・・あ、都市伝説だったのか! それでこの違和感か! 双子じゃなかったのね。 ノロイも都市伝説になりかけとか言ってたし、話せて当然か。 何の都市伝説だ? ドッペルゲンガー? (翼 あ、それと最後に・・・ (望 うん? (翼 そう言う事に興味持つのはわかるけどそこは我慢しろよ? お前まだガキなんだし、いや大丈夫だとは思ってるけど年末のアレg (望 買って嬉しいはないちもんめ!! (翼 うぉっ!? (裂邪 兄ちゃん?! 兄ちゃんが沈んでった・・・なんか可哀想だな、今日の兄ちゃん・・・ てか今この子何て言った? 「はないちもんめ」? てことは「はないちもんめ」と契約してるっての? 今のも、さっきの水面走ったのも全部その能力か・・・童謡強ぇ・・・ ...END 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影